悪いところのほうが出てくる?
「お子さんの良いことろはどこですか?」と聞かれてすぐに思い浮かぶでしょうか。
「悪いところならすぐに出てくるんですけど……」とおっしゃる方は少なくないと思います。
子どもが成長すればするほど、親は「できて当たり前」「ほめたら調子に乗る」と感じてしまうのでしょう。
まして子どもが思春期に入ったら、ほめるのを控えるどころか、本当に腹が立つことも増えます。
よく「小さなことをほめましょう」と言われますが、親が自分の目線を変えないことには、良いところを見つけるのは難しいかもせん。
息子が高校生のとき、忘れられないエピソードがあります。
当時書いた記事に加筆して再掲します。
怒りが、「誇らしい」に
息子、もうすぐ高3になるし、夜遅くまで出かけるのもまあいい。
けど今日は、友だちと2人でカラオケ行くと言って昼前から出てったきり、夜10時半になっても帰ってこん。
LINEの連絡もない。
夫も「まだ帰ってきてないんか」と。
別に心配ではないけれど、今日は塾じゃないし、カラオケは年齢制限でもうとっくに店を追い出されてるはず。
どこほっつき歩いとんねん!と急にイライラしてきて、LINEした。
「今どこ?」
「小学校のとこ。もう帰る」
それから5分後、帰ってきた。
話を聞くと、夜7時まで(!)カラオケ歌って、平城旧跡へ散歩に行ったら、その辺りを散歩していたおじさんに「大極殿がライトアップされててキレイだよ」と教えてもらったらしい。
行ってみたら、めっちゃきれいで写真を撮った、と見せてくれた。
「これ、かっけー!って思った」。
その後、友だちと歩いてたら、また別のおじさんに声をかけられ、「今度近くの公民館でAEDの講習会があるから、来てほしい」と言われ、行くことになった、と。
なんでもTV取材も来る地域のイベントで、子どもから高齢者まで幅広い年齢の人に参加してもらいたいが、大学生くらいの若者がいなくて困っていた、とのこと。
「今日の外出は、カラオケより、夜の散歩のほうが面白かったかも。
ってゆーか、収穫があった感じ。
真っ暗なところに、きれいな大極殿がどんっとあって、めっちゃカッコよかったし。
なんか歴史的な建物(建てられたのは最近だけど)でかっこいいと思ったのは初めて」
そんなふうに嬉しそうに話す息子を見ていて、わたしもじわーっと嬉しくなった。
見知らぬ地域のおじさんや大極殿の警備員のおじさんと話をしたり、暗闇に浮かぶ建物に感動したり。
そういう経験をしてきた息子が、ちょっと誇らしくなった。
子どもの話の中に、宝が見つかる
ふだんは「だらしない」「もうすぐ受験生なのに全然勉強しない」と「良くないところ」ばかりに目が行きがちですが、子どもとの話の中に、思いもかけない「良いところ」がたくさん隠れているものだと思いました。
日ごろから「子どもの話をきちんと聴く」をしていると、親の目線もどんどん磨かれていくのではないかと思います。
ちなみにこの4年後、息子が就活で「自分のいいところなんか、わからん!」と焦っていたとき、このエピソードやほかのいろんな出来事から、わたしが感じた息子の長所をリストアップして渡しました。
そのリストが、思った以上に就活で役に立ったようです。
(↓息子が撮った写真)
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